1.分類上の位置

一般の人の中にはイカは魚の仲間かと思っている人はゼロではないでしょう。水産専科の人はそうではないとわかっているのに便宜上、イカの「魚群」とか「魚体」とか「魚種」という用語を使います。「イカ群」はともかく「イカ体」「イカ種」とは言い換えにくいからでしょう。
イカは軟体動物というカテゴリーに入ります。それは動物の分類学では「門」の呼び名で、動物分類の上では「節足動物門」(昆虫やエビ、カニ)「脊椎動物門」(魚から人間まで)など二十数個の門に分けられ、中でも「軟体動物門」はよくまとまった大きいグループです。軟体動物の主流は巻き貝と二枚貝に代表される貝類です。貝類とイカとが同じだと初めて聞くとかなり違和感がありますが、動物の各門を定義付ける動物の特徴を当てはめていくと(こみいった話は省略しますが)それはまちがいない事実で、イカやタコと貝類を別別の門に分けることはできません。だからひとつだけいうと例の舟形の「いかの甲」や俗に「骨」というペラペラの軟骨状のもの(軟甲という)は正確には「貝殻」なのです。
軟体動物には貝類のほか、一般にはあまりなじみの少ないカセミミズだとかヒザラガイなど下等なものも入れて七つのグループに分けられます。そのうちイカはタコとともに頭から直接足(腕)が生えているという独特の設計図から、「頭足類」というグループ(綱)にはいります。この綱には菊石(化石)として知られるアンモナイトや、このごろ水族館でも見られるようになったオウムガイなども入りますが、現在生きているイカとタコはそれらとは頭足類の中でも別の二鰓類(にさいるい)もしくは鞘形類(しょうけいるい)と呼ばれる仲間です。「イカ」というのはさらにその中でコウイカ類(石灰質の「イカの甲」を持つものが主流で、英語ではcuttlefish)とツツイカ類(ヤリイカやスルメイカのように細長いイカ、英語ではsquid)をひっくるめた総称で、世界中の海に総計およそ450種前後住んでいます。これはすでに絶滅したアンモナイトは二万種類以上いたといいますから、種類数としては大いに凋落したものともとれます。ちなみにタコはコウイカ類、ツツイカ類と横並びの八腕形類に入り、この方はおよそ200種内外かと思われます。 |