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イカ加工品の栄養特性
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3.分析結果に対する考察
(5)
脂肪酸組成
いかくんとソフトさきいかの脂肪酸組成を表8に示した。脂肪酸は脂肪の構成成分の重要な成分であるが、その分子の構造から、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つに大別できる。
飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸には幾つもの種類があるが、日常摂取している陸上産の油脂(動物、植物の油脂)は、炭素の数だけで見てみるとC16とC18からなる脂肪酸でほぼ80〜90%を占めている。
しかし、水産動植物の場合、不飽和脂肪酸の種類が多く、また、炭素の数もC20以上の脂肪酸が含まれる。特に、近年注目されているEPA(C20:5)やDHA(C22:6)などの高度不飽和脂肪酸を含む特徴を持っている。
イカ加工品の脂肪酸組成を見てみると、その組成が10%以上占める脂肪酸は飽和脂肪酸のパルミチン酸(C16:0)、高度不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(C20:5)およびドコサヘキサエン酸(C22:6)であった。
飽和脂肪酸のパルミチン酸は血中コレステロールレベルを上昇させると報告され、一方、EPAやDHAは血中コレステロール低下作用、中性脂肪抑制作用、大腸ガンや乳ガンの抑制作用等のあることが動物実験や臨床試験でも確認されている。
また、DHAはアレルギーの改善作用、痴呆症予防作用、脳機能の向上作用等もあることが、疫学調査や動物実験で報告され、水産物に含まれる油の効用が広く一般市民に浸透しつつある。
今回、分析したイカ加工品にはこの2つの高度不飽和脂肪酸(EPAとDHA)が総脂肪酸の57〜58%も占めていた。特に現在、脳の機能性向上の面で注目されているDHAは43〜46%も含まれている点は興味のもたれる点である。
EPAはDHAよりその組成比は低く12〜15%であるが、血中コレステロール低下作用が顕著であるため、数年前から医薬品として認可され病院等で使用されている脂肪酸である。
これら生理作用のある高度不飽和脂肪酸がイカ加工品に高く、水産生物の特徴を十分に持った食品と言える。なお、脂肪酸の項で述べたことは、ほとんどの水産物に当てはまる共通性のある事柄である。
いかくんやソフトさきいかの脂質含量は表4から0.4〜0.8%と少ない。脂質の定量は2〜3種類の方法があり、クロロホルム・メタノールで抽出する方法ではイカ加工品に2.5〜5%で脂質が含まれていた。この差は定量法の差によるものであるが、いずれにしてもイカ原料そのものに脂質含量が少ないため、イカ珍味品の脂質量は必然的に少ない食品になると言える。
一般に脂質含量の少ない食品は中性脂肪(いわゆる普通の油脂)で含有するのではなく、リン脂質(複合脂質の一種)として合有することが分かっている。リン脂質はEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪酸が構成成分となるため、前述のようにイカ加工品にはEPAやDHAが高い組成比で含むと考えられる。
今回の実験では、直接、リン脂質含量およびその脂肪酸組成を測定していないため、正確に断言はできないが、イカ加工品100g中に100〜200mgのEPAやDHAの高度不飽和脂肪酸が合有すると思われる。
一回の摂食量を20gとすれば20〜40mgのEPAやDHAが摂取できることになる。EPAおよびDHAの一日の摂取量は500〜1,000mg程度で前述の生理作用が期待できると言われていることを考慮すると、イカ珍味品はこれらの良い供給源になると考えて良い。
しかし、高度不飽和脂肪酸は空気中の酸素で酸化し、場合によっては食中毒の原因にもなるため、生産者は製品の酸化には十分気を付ける必要があろう。
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